『ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた』

PRIDUCTION NOTE

    ■義足をつけて

    特殊メイクを担当し、『ナイトクローラー』、『ノクターナル・アニマルズ』でもギレンホールと仕事をしているドナルド・モワットは、ギレンホールが本当に義足をつけているように見える特殊メイクを考案した。「義足と視覚効果と演技が見事に組み合わさり、ギレンホールが本当に義足をつけて車椅子に乗っているような映像を作り出したんだ」とリーバーマン。足は、立っているとき、座っているとき、横たわっているときの3つの姿勢にわけて、3種類製作した。車椅子は特注。使用するものはすべて、義足の色にいたるまで熟慮を重ねた。リーバーマンはつづける。「気味悪く見せるのは簡単だっただろう。でも、ショッキングな映像にはしたくなかった。これはジェフの現実なんだ。そこを大切にして、すべてを慎重に進めた」
    リーバーマンは、ボーマンのストーリーが世界中の人々の心をとらえたのは、普通の男のストーリーだからだと考える。「ヒーローになることは何を意味するのか。〝ヒーローにふさわしい行動〟をしなければならないのか。人々の気持ちを鼓舞し、人々が自分の心の奥を見つめ、諦めかけた不可能に挑むようになっていく、普通の男がそれをやってのける奇妙さのドラマがある」
    ジェフ・ボーマンのストーリーは極端だが、彼の体験には誰もが経験する普遍的なものがあるとグリーン監督は語る。「私がこの映画で挑戦したのは、何の誇張もないリアルがあるからだ。事件を撮るだけじゃなくて、そこに日常があり、家族や隣人がいる。人間と集団が、大きな災難にどう反応するのか?自分を思いやってくれる人がいて、自分はその人を心から頼ることができると気づいてもらえるなら、とてもうれしい」