『ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた』

PRIDUCTION NOTE

    ■撮影エピソード

    撮影監督のショーン・ボビットはドキュメンタリー作家として映画の世界に入り、自分の手でカメラを回すことにこだわる。「自分の手でカメラを回すと、俳優の演技に完全に入り込めるんだ。そうしながら、ショットを組み立てることもできる。ショットの組み立てが、映画撮影の半分を占めると思うんだ。」
    グリーン監督もボビットの手法を採用した。「撮りながらショットを組み立てていくのさ。俳優に自由に演じさせ、それをカメラで追っていった。ショーンはライトを使わないんだ。部屋の外や窓の向こうに光があると想定して撮る。われわれが撮影を行っていたところにはライトスタンドさえなかったと思う」と振り返る。
    そのようにしてでき上がったシーンの1つが、ボーマン一家が勢ぞろいしてみんなが思い思いにしゃべっているにぎやかなシーンで、とても現実味のあるひとコマに仕上がっている。「このシーンは撮影リストにも絵コンテにもなかった。現場にカメラを2台ほどセットし、俳優たちにシーンの意図を説明して自由に演じさせ、それをカメラで追った。われわれはリアリティを追求し、いくつかのシーンでは強調した。このストーリーは実話だ。だから、できるだけリアルで信憑性のあるものにしたかった」とグリーン監督はつづけた。
    一方、テロ現場のシーンは複雑な視覚効果を用い、必要なところだけを淡々と映し出す方法をとった。「視覚効果のスタッフが、ジェフの脚が切断される場面を見事に作り出してくれた。ショーンはフィルムの露出を下げ、暗くて少しきめの粗い映像にした。派手な脚色はなし、あっさりしたシーンにしたんだ」