『ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた』

PRIDUCTION NOTE

    ■鬼才監督とジェイク・ギレンホールの参加

    希望と絶望の微妙なバランスの脚本を形にできる監督を見つけることが、次のハードルだった。
    デヴィッド・ゴードン・グリーンは、ハイテンションのコメディ『スモーキング・ハイ』、映画賞を受賞した十代のドラマ『George Washington(原題)』まで多彩な才能を発揮している監督で熱狂的なファンがいる。リーバーマンは、彼こそこの企画にぴったりだと思った。
    グリーン監督は言う。「本当は、次は少しリラックスしたものをやりたかったんだけど、脚本を読んで圧倒された。緊張感がユーモアとともに語られることで、ニュース記事よりはるかに大きなものを映画が表現していた」そして、思いがけなく大スター、ジェイク・ギレンホールから電話があり、ボーマンを演じることに興味があると言ったことで映画は一気にカタチになった。もはや名優といっていいギレンホールは言う。「この映画を支持するべきだと思った。僕は、ジェフの人生の旅と、この映画が爆弾テロについての物語ではないという事実に強く胸を打たれた。これは、悲劇から希望へと進むひとりの人間の物語だ」
    主要映画製作スタッフは最初に全員でボーマンの住む町、マサチューセッツ州チェルムズフォードに向かった。飾り気のない小さな町は人口約34,000人で、かつてはニューイングランド経済を支える工場都市だった。「僕たちは人々の近隣の生活ぶりに触れるため、大人数でピザやビールを食べに町に出たが、よくしてもらった。ジェフの実際の親友と飲んだりもした。彼らの率直さや温かい歓迎ぶりに、驚いたね」とグリーン監督。
    映画が進行しはじめると、ボーマンは様々な面で常に製作を助けてくれたが決して撮影現場には来なかったという。リーバーマンは言う。「ジェフは映画の成功を願いつつ、現場を思い出すのがつらかったんだろう」