『ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた』

PRIDUCTION NOTE

    ■2013年のあの事件から映画化まで

    『ザ・ファイター』、『美女と野獣』などを手掛けたプロデューサーのトッド・リーバーマンは、娯楽だけではない何か勇気を与える作品を探していた。
    そこに2013年のボストンマラソン爆弾テロで、世界中で話題になった、あの被害者の回顧録が出る話が舞い込んできた。「まさにそれは僕が探していたものだった。うわべだけのものは作るつもりはなかったボーマンの悲劇、トラウマ、困難について、リアルな映画でなければならなかった。だから無理を承知でお願いした」
    ボーマンは自身の回顧録「Stronger」の映画化の権利をこの敏腕プロデューサーに与えることを同意した。脚本はジョン・ポローノ。リーバーマンにとって本作の脚本はボストン魂の気骨と皮肉がわかる、ニューイングランド生まれの彼しかいなかった。ポローノは説明する。「登場人物を家族みたいに感じた。僕は、この物語をきっちりと描く強い義務感を感じた。胸が痛むが、僕はやらなければならなかった」
    そしてリーバーマンの予想通り、ポローノは脚本に原作以上ににじみ出る家族の力、男らしさ、忠誠心といった特徴づけをおこなった。「僕は、これがコストコのデリで働く普通の男の物語だというところに惹かれた。彼はスポーツ選手じゃなかった。ジェフ・ボーマンに起こったことが突然僕に起こったら、どうしただろうと自分に尋ねたよ」
    ポローノは何か月もかけ脚本を磨き上げているが、彼と映画製作陣にとって最大の問題はボーマンがまだ回復途中だったことだ。「ジェフはその頃、立ち直る真っ最中だったからね。今では大きな回復を見せているが、それでもPTSDに苦しんでいる。当時は深い苦しみの中で脚本づくりに協力してくれていたんだ」
    あまりにリアルな状況で書かれたこの脚本は2015年のハリウッドブラックリスト(映像化されていない脚本のランキング)でNo.2に選ばれた。
    ポローノは、「これはテロについての映画ではなく、自分の元の人生を取り戻すために戦ったひとりの男の話だ」彼は説明する。「僕たちニューイングランドの人間はファイターで、それを誇りにしている。だから、地域特有の典型的なユーモアを入れる必要もあったのさ」